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近年は教育の情報化が進み、ICT教育を導入する学校が増えています。それに伴い需要が増えているのがICT支援員です。ここでは、ICT支援員の業務内容や雇用形態など気になる情報を紹介します。
ICT支援員とは、教育機関での授業や環境整備など、ICT活用のサポートをする人材のことを言います。ICT支援員は学校内のシステム操作支援を行う上で非常に重要なポジションを担っており、情報通信技術教育が重視されている近年においては、必要不可欠な存在です。ICTを活用した指導については自治体によって異なるため、ICT支援員に求められる能力はさまざま。地域や学校によっても多様化しています。
2018年に「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」が策定されました。この計画においては4校に1校はICT支援員を配置することが目標とされており、地方財政措置として1年間当たり1,805億円が確保されています。この策定からICT支援員の会員数も増加しており、今後も増加の傾向が見られます。ICTを活用した教育については地域間での格差が見られるため、今後は自治体の状況に応じたサポート体制の構築が求められています。
新たに情報機器やテクノロジーを利用して教育を受ける、教育の情報化が求められています。2020年度からは小学校でのプログラミング教育が必修化され、コンピューターを用いた授業やプログラミングがより身近なものとなりました。学校現場での教育の情報化は、効率的に教育を受けられるだけでなく、教師の事務作業の削減にもつながります。しかし、まだまだ地域によってICT活用に差があるのが現実です。今後はICT活用の地域差や学校差をなくすことが目標となります。
授業で使用する教材の作成はICT支援員の業務の一つです。教師へパソコンなどの使用方法を指導し、スムーズに授業が行えるようサポートをします。ICT機器を活用できることは教育を情報化する上で非常に重要です。しかし、ICT機器を活用できる教師は多いとは言えないでしょう。そこでICT支援員が教師をサポートし、授業に対する支援を行います。
ICT機器のセッティングやメンテナンスもICT支援員の業務です。授業で主に使用されるものは、パソコンやタブレットです。これらの機器を使用する際のセッティングや使用方法の説明をICT支援員が行います。ネットワーク設定など、快適に使用できる環境を整えるのも大事な業務です。使用中のトラブルの対応や使用後のメンテナンスも含めて、ICT機器に関する業務を幅広くサポートします。
ICT活用に関する校内研修を行います。主な内容としてはICTの活用方法に関する解説やICT活用の意義を説くことなど。ICT活用の重要性・必要性を現場の職員に説明していく必要があります。ICT活用を広めようとしても、実際に現場で利用する教師がICT活用のメリットを理解していなければ、ICT化を進めることは難しいでしょう。ICT支援員が校内研修を行うことで、現場職員の理解を得てICT化を促進していきます。
教師の仕事のなかには成績処理や指導要録の作成など、事務仕事が多くあります。さらに、近年は英語教育やプログラミング教育といった指導要領が加わり、教師の仕事はより煩雑になっています。そこでICT支援員が公務支援システムを導入、操作支援を行うことで、教師の業務負担の軽減を目指していきます。作成した書類の保管、管理業務も公務支援システムの操作支援に含まれるでしょう。このように、授業でのICT支援だけでなく、校務のサポートもICT支援員の業務の一環です。
自治体や学校がICT支援員を直接雇用するパターンがあります。雇用形態は雇用先によって異なりますが、市町村が運営する公立の学校であれば自治体に雇用されるケースがほとんどです。私立学校であれば、学校が直接雇用をします。
雇用形態としては、正社員や派遣社員、アルバイト、契約社員と様々です。1校に常駐するパターンもあれば、複数の学校を巡回して働くパターンもあります。学校の夏休み期間中でも教師は勤務をしているため、ICT支援員も基本的には出勤をします。
業務委託でICT支援員として働くには、委託業者に登録をしなければなりません。自治体が委託業者と契約し、ICT支援として学校に配属されます。この場合、ICT支援員として複数の学校を掛け持ちで巡回するケースが多くみられます。委託業者と契約してICT支援員として働く場合、契約を結んだ業務以外の校務はほとんどありません。残業も少ないので、ワークライフバランスを取りやすいでしょう。
なかには教育委員会に常駐のICT支援員として派遣され、そこから各学校のサポートに回るパターンも見られます。
ICT支援員としてのポピュラーな資格が「ICT支援認定資格」です。原則20歳以上であれば受験資格があり、試験は年に2回実施されます。試験の正確な合格率は非公開です。A領域とB領域の試験があり、実践知識と問題分析・説明力が問われます。まずはA領域の試験を受け、1週間後にB領域の試験を受ける形です。
ICT支援認定資格で試験を合格したら、さらに上の資格を目指していくことになります。
ICT支援員上級認定試験は2019年に開始された試験です。支援員の中でも特に優秀な人物に限定され、実践面・能力面で優れた人にしか受験資格が与えられません。問題解決能力やコミュニケーション能力が問われ、合格すればICT支援員として高いスキルがあることが証明されます。受験するには「ICT支援員の認定後4年以内であること」「2年以上の実務経験があること」など、さまざまな条件があります。
ICT支援員の資格より10年早く試験が開始されたのが、教育情報化コーディネータです。教育情報化コーディネータは学校や教育機関の教育を情報化しコーディネートできる人材と認められる資格です。ICT支援とは異なりますが似ている部分があり、ICT支援員として働くうえで視野を広げるためにも資格を持っているとよいでしょう。
ICT支援員の仕事は、担当エリアの小学校や中学校、高校に足を運び、先生が使っているPC等の情報機器の使い方を指導すること。そのため、ICTに関する知識をもっていることはもちろん、それを上手に教えることができる、コミュニケーション能力が必要とされます。生徒から先生まで、いろいろな人にわかりやすく伝えることが重要です。
ICT支援員になるからには、PCやタブレットなどの情報機器について、詳しい知識をもっていることが欠かせません。操作の基本はもちろん、頻繁に使用されるソフトの使い方について、詳しい知識を持っている方が求められています。
児童生徒や教員にICT機器について指導する、ICT支援員。そのためには、なにより自分自身が高いITリテラシーを持っていなければなりません。情報技術について詳しい知識を持ち、それを適切に活用できることが求められます。
PCやタブレットなど、教育現場で使用されるICT機器を、問題なく操作できるスキルも必要です。教育現場のネットワークの保全や、機器の保守・修理・納品といった専門知識まで求められることはありませんが、基本的な操作方法は身につけておきましょう。
ICT支援員は、生徒児童や教員と、直接的にコミュニケーションを取る仕事です。そのため、高いコミュニケーション能力が求められます。生徒の間ではICTスキルに差があることも珍しくありません。わかりやすく教えられることが必要です。
ICTの活用をサポートすることも、ICT支援員の重要な仕事です。誰かをサポートすることにやりがいを感じる人ほど、活躍することができるでしょう。教員間にICTの技術を導入したり、タブレットで学習を効率化するお手伝いなど、ICT支援員ならではのサポートを行いましょう。
ICT支援員が使用するICT機器は、PC・タブレットをはじめ、教材ソフトやプロジェクターなどがメインになります。また、学校施設で採用されているソフトウェアも、操作できる必要があります。ワードやエクセルなど、Office系のソフトも含まれます。
ICT支援員と教員の業務を明確に区別することが重要です。教員が隔週指導や生徒指導などを行うのに対し、ICT支援員の業務は指導に関連しないものになります。ICT活用のサポートを行う仕事に業務を限定しなければなりません。
ICT支援員が求められるべきスキルは、それぞれの自治体によって異なります。ICTを活用した授業案の作成支援や、ICT機器の準備・片付けなどは、基本的な「スキルレベル1」になりますが、「スキルレベル2」になると、より応用的な内容になってきます。スキル標準の策定を行いましょう。
教育現場でも、ICTの活用をより進めることが課題になっています。このような教育の情報化を実現するために、ICT支援員の存在は重要です。教員はもちろん、生徒児童がタブレット端末等のICT機器を活用できるようになるため、ICT指導員の設置が求められています。
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